【コラム】 旅へのお誘い 第7回 大回り乗車 前半

松原利明

新型コロナウイルス感染症予防の為の移動自粛が解除され、ちょっとどこかへ出かけようかという気持ちになった方もおられることでしょう。
でもまだ遠くへ行くのはちょっと・・・という方に今回、このような電車旅はいかがでしょうか?というものです。まあ旅と言えるかどうか微妙なんですが。そもそもどこかへ行くというものでは無いので。

 このことについてはすでにご存知、またすでに実行したよという方もおられるかも知れませんが、JRの規則をうまく利用して、少額の運賃で長時間電車に乗ろうというものです。
大回りというのは、JRの規則にある用語ではなく、一部のマニア的な人が楽しんでいたのを、マスコミなどが「大回り乗車」として取り上げ、広めたもののようです。
JRの規則はとても難解ですが、普通に利用する分には必要ないことがほとんど、でも知っていると役に立つというのもあります。

これもそのひとつ。先述のJRの規則(旅客営業規則)に、運賃計算の特例というのがあって、その中に「大都市近郊区間内のみをご利用になる場合の特例」というのがあり、これは一種の選択乗車(複数の経路を選べる)なのです。東京近郊区間・大阪近郊区間など全国に5つの地域が設定されています。
中でも東京近郊区間の範囲は非常に広いのですが、ここでは私たちの近く大阪近郊区間についてお話することにします。

本来乗車券は利用する経路で購入するものなのですが、この「大都市近郊区間内のみをご利用になる場合の特例」というのは、大都市近郊ではJRの路線がたくさんあり、またそれらの線区では列車の本数も多く、目的駅へ向かうにはいろんなルートが考えられるので、どのルートを選んで行くのか、なかなか特定して切符を購入するのは難しいことです。

※ 大阪と西九条の間の大阪環状線と、尼崎から京橋への東西線がクロスしているようですが、ここには
駅は無く立体交差のようなものなので、この部分は二度通っても大丈夫です

たとえば川西池田から天王寺へ行く場合、川西池田〜大阪、そこから京橋経由かそれとも西九条経由か、もしくは尼崎からは東西線で京橋経由などいろんなルートが考えられます。そのような場合に経路を決めて切符を求めるのは、売る方も買う方も実際は無理です。そこでこの定められた大都市近郊区間内相互では、最短経路で運賃計算することができるとしています。(できるというだけであって、経路通りの切符を買うこともできますが、通常メリットはありません。あえて言えば、100㎞を越えるところまでだと学割が使えることくらい)

ですからこの最短距離で計算という制度を使って、安い運賃で長時間乗車してみましょう。例として川西池田から大阪へ行く場合(最短では330円)、尼崎から東西線を利用して京橋〜天王寺〜和歌山〜高田〜桜井〜奈良〜木津〜柘植〜草津〜米原~近江塩津〜山科〜大阪と乗車することもできるのです。(経路通りで計算すると8,030円)。ただし途中どの駅でも改札外へ出ることはできません。理由は第8回で書きます。

かって私が体験したひとつは、尼崎に用があった時、反対の宝塚方面の電車に乗って谷川へ、そして加古川線で加古川、その後新快速で目的の尼崎へ。図にすると下記のようになります。

本来なら赤い線の伊丹経由で所要時間約10分のところ、篠山口、谷川、西脇市、加古川で乗り換えて4時間ほどの小旅行でした。

長くなるのでつづきは第8回で書きます。この第8回ではこの制度を利用をする際の大事な注意事項を述べますので、ぜひ読んでください。(「第8回大回り乗車 後半」の記事はこちら