【コラム】地球温暖化のお話(12)仮想水

石津 顕

私たちが生きて行くために欠かせない水。今回は水と食糧が深い関係にあることがわかる仮想水についてお話しします。仮想水とは聞きなれない言葉ですが、簡単に言えば農産物・畜産物の生産に要した水の量を言います。

農作物の仮想水は主に灌漑によって使う水で計算されます。また、畜産物は使う飼料によって変わり、穀物飼料の場合は非常に大きくなります。このように、農畜産物の仮想水は製造方法によって大きく違うことがあり、正確な計算は難しく、結果が違うことがありうのです。しかし、仮想水は水の大切さを測る一定の目安になるのです。

日本は水の輸入大国であることをご存知ですか? 水を輸入するって?と不思議に思われるでしょう。しかし水の輸入はミネラルウォーターだけではないのです。日本の食糧自給率は約40%で、60%の食糧は輸入に頼っていることは前にお話ししましたね。60%の輸入食糧を生産するための水(仮想水)も間接的に輸入していることになります。

国内で1年間に使う水は870億トンですが、それに加えて、食糧として輸入する仮想水は640億トンにもなります。
仮想水は身近な例でいえば、精米後の米1kgを作るのに約8トン、小麦粉1kgを作るのに4トン以上の水が、また、牛肉は、肉1kgに対して70~100トンの水が必要であると推定されています。別の計算では、食パン1斤の仮想水は500~600リットル(2リットルのペットボトル250~300本)、ステーキ肉200gの仮想水は4,000リットル(2リットルのペットボトル2,000本)とも言われています。

食糧を作るためにこんなに水を使っているのは驚きです。 食糧の輸入に伴って、この水も輸入していることになるのです。

図に示す主な仮想水の輸入はアメリカ、オーストラリア、カナダ、南米、中国などが上位になっています。
森林伐採、温暖化による砂漠化、わずかな水の奪い合いなどなど、地球上の水の問題は深刻に なっています。将来、世界紛争の引き金にもなりかねません。
私たち日本人にとって世界各地の水不足は他人事ではありません。